気管支拡張症
慢性気管支炎が長く続くと気管支のまわりがの細胞壁が傷ついて弾力性がなくなり気管支のほうぼうが広くなって痰がたまったり、また肺気腫となって肺が拡張して吸った息が吐き出せなくなり、息切れするようになります。このように気管支をガス菅のゴムホースに例えるとゴムが古くなって弾力性がなくなったようなものです。
それと共に心臓が肺へ血液を送り込むことが段々困難になり、心臓の右心室に負担をかけて拡張肥大して衰弱してきます。
呼吸器と全身を調整する漢方処方は
1.大柴胡湯(だいさいことう)
みぞおちから両脇にかけて抵抗と圧痛のある胸脇苦満があり、 頭重、肩こり、耳鳴り、便秘などがある人
2.清肺湯(せいはいとう)
せきが長引き、痰が多く、痰が粘って切れにくく、慢性化した呼吸器疾患に用います。
3.辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
鼻内部に炎症があり乾燥し、熱感や痛みのある時に用います。鼻汁が後ろにまわるなどの症状があり、慢性気管支炎、気管支拡張症に用います。
4.小青龍湯(しょうせいりゅうとう)
くしゃみ、鼻水などの症状を呈し、泡のような薄い痰が出たりして、胃のあたりに振水音がする人の喘息に使用します。発作がひどく苦しむときには石膏を加えた小青龍湯加石膏を服用します。
5.苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)
冷え症で貧血がかった体力の弱い人に使用し水様性の痰、咳、鼻汁などをともない、風邪が慢性化したような症状を呈します。頭痛や熱などの表証がなく胃の弱い,水っぽい体質があります。
6.滋陰至宝湯(じいんしほうとう)
体力が衰えた慢性の咳や痰に用い、痰は割りに切れやすく量も多くない人で食欲なく寝汗が出るというものに用います。
7.炙甘草湯(しゃかんぞうとう)
慢性気管支炎や肺気腫などで、息切れがあり痰の切れにくいものに用い、臍の上で動悸がふれます。
8.麦門冬湯(ばくもんどうとう)
のどの乾燥した咳に使用します。ねばっこい痰やはげしい空咳があります。こみあげてくるような咳をして顔面が赤くなるような症状があります。
9.滋陰降火湯(じいんこうかとう)
のどに潤いがなく痰が出なくて咳き込むもの、夜寝てから痰が切れにくく咳き込むもので皮膚の枯燥のあるもの、麦門冬湯に使い方は似ていますが、それに貧血の薬を加えたものに用います。
10.橘皮枳実生姜湯(きっぴきじつしょうきょとう)
肺気腫・気管支喘息・気胸・気管支拡張症などで胸中がつまる感じがして、或いは咳き込み、或いは息が切れ、或いは痛むものに使用します。
11.神秘湯(しんぴとう)
呼吸困難が強く、喘息で痰が少なく、気分の塞いだような人に使用します。麻杏甘石湯から石膏を除き、陳皮、厚朴、紫蘇葉に柴胡を加えたものです。